CONNECT

大阪農林会館ビル

Osaka Norin Kaikan

大阪・南船場に建つ大阪農林会館。
1930年、旧三菱商事大阪支店として建築。戦後、農林省関係のビルとなり1972年にテナントビルとして利用されるようになった。
現在はオフィス以外にも、アパレル・スタジオ・ギャラリー・美容室、そしてレストランなど多彩な店舗が入居する。

建物外観は1階を石貼り、2階以上をタイルで覆い大きな鉄製の窓が数多く配置されたレトロな装い。
現在メインエントランスとして利用されている東側入口から建物に入ると、石造りの壁面や木製の手すりのついた階段、床に敷かれた市松模様のタイル等、凝った装飾のホールが来訪者を迎える。
階段室や廊下、テナント専有部も大きく手を加えられることはなく建設当時の空気感を味わえる。

一見無骨な外装とは異なり、アンティークな空間を形成するエントランスホール。
竣工時、メインエントランスだった交差点に面した角の入口。現在は1階に入居する家具店に。界隈が若者やインバウンドでにぎわう以前は24時間スーパーが入居していた時期も。

5階エレベーターホール。重厚な石造りの腰壁と鉄フレームの大きな窓。天井には鉄板を塗装した装飾。
雰囲気のある廊下。入居するテナントの多彩なネームプレートや看板が並ぶ。
階段の手摺やメールシュートや金庫室など、随所に当時の設備がそのまま残る。

2000年代から若者の情報発信地として変貌を遂げた南船場4丁目界隈とは異なり、この建物のある3丁目界隈は繊維問屋や老舗飲食店と最先端のカフェや美容室が混在するエリア。
街の移り変わりを見守る生き証人のような建物を最大限に活かし、慎重に手を加え、未だに魅力を発し続ける大阪農林会館。
これからも世相を反映した人気のビルとしてこの地に建ち続けることを願いたい。

PAGE INFO
公開日: 2008/3/29 撮影: 2022/10 | 2008/3

作成者: