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北浜長屋 COME to THE RIVER

Kitahama Row House
COME to THE RIVER OSAKA - Kitahama Row House 2017 / Shinichi Takaoka Historical Architecture
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北浜・土佐堀通り沿いのビルに挟まれるように建つ二軒長屋。
目を引く異質な光景に反して、近年はシャッターの閉ざされた状態で住宅や事務所として利用されていたが、2017年にリノベーションされ飲食店等が入る人気スポットとなった。

ビルの谷間に建つ。切り取られた空が印象的。
リノベーション前はアルミサッシの入る普通の民家のような様相。2軒となりの北浜レトロより広い間口の同建築がビルに建て替えられるのは時間の問題のように思えた。

建物は、土蔵を店舗兼住宅用途に応用した「見世蔵」様式。黒漆喰の外壁に窓には観音開きの扉が備えられた重厚な造り。
入居する店舗の明かりが建物を息づかせている。

格子の施された和の外装に、照明やサイン、洋風のドアが見事に融合している。
「掛子」と呼ばれる段々に重ねられた観音開きの扉が耐火性能を高める。
東側のオクシモロン店内。大人気のカレー&スイーツ店は味もさることながら、おしゃれな水辺のスポットとして認知されている。
店内から眺めるられる水都らしい風景もこの建物の醍醐味。
2階、旧応接室。金属パネルに型押し装飾の施された重厚な天井が見どころ。

経済的な矩形のビルが建ちかねない北浜駅すぐの土佐堀通りに面した好立地にも関わらず、低層の木造建築をリノベーションして活用する道を選び、それが実を結んでいる。
テナント自体の魅力が大きいことは言うまでもないが、この建物で食事をするという体験自体がコンテンツとして成立している。
北浜レトロと同じく、ビルに囲まれ取り残されたような建物が奇跡的に残ったように目に映るその光景も、安易に建て替えという選択をせず建築の魅力を活かし、経済的な成功に結びつけることで実現したものだということを思い知らされる。

PAGE INFO
公開日: 2025/2/24 撮影: 2022/10 | 2019/10 | 2013/3 | 2012/10

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