こども本の森 中之島/安藤忠雄
大阪・中之島に建つ、子どもが本と出会い、本を楽しみ、本に学ぶ文化施設。
国内外から寄贈された絵本や児童文学など約18,000冊を超える書籍が収蔵されており、館内だけでなく中之島公園内の広場や芝生の上でも自由に本を読むことができる。
「中之島プロジェクト」構想や、周囲の川沿いに世界最長の桜並木を植樹する運動を続け、中之島に特別な想いを寄せる建築家・安藤忠雄氏が建築費を負担し、市民や企業からの寄付により運営費が賄われる。
建物は、弧を描いて堂島川に沿って建つ。
エントランス部のテラスが南側の公園と北側の川の風景をつなぎ、通りから川への視線を塞いでしまわないように配置されている。
大阪はかねてから水の都として都市のアイデンティティを模索しているが、多くの水辺の建物は川に背を向け、通りから川の気配を感じることを拒むかのようにビルが立ち並んでいるが、この大きなテラスが視線を中之島公園から川辺へと誘う。
写真下: 川沿いの遊歩道へはスロープでもアクセス可。
建物内部は3層構造の壁一面を書架で囲い、中央に配置された大階段や吹き抜けを廻る立体迷路のような渡り廊下、井戸の底にいるかのような薄暗い円筒空間など、子どもの好奇心を刺激する構成。
子どもたちはこの大きな遊び場を駆けずり回っている。
建物の中央に配置された、大階段下のスペースなどのデッドスペースをそのまま露出させ、おこもり感のある空間として活用。子どもたちに大人気になっている。
「こども本の森 中之島」図書館ではないため本の貸し出しなどは行っていないが、自宅で気に入った本を読みたければ公園内を5分ほど歩いたところにある大阪府立中之島図書館で本を探す事もできる。
こども本の森でお気に入りの本を見つけ、幼い子どもを連れてゆっくり本を選び読み聞かせることは難しい府立図書館では貸し出しのみ利用するのも手だろう。
こども本の森は、子どもたちにとって魅力的な遊び場であり、読書を通じて親子の大切な時間を過ごすことができる場所。
ここでの楽しい思い出とともに本に親しみを持ち、読書に没頭する子どもが数多く生まれるかもしれない、本と出会う施設として非常に有意義な場所であった。
作成者: Hiromitsu Morimoto