枠にとらわれない自由様式建築
建築家・安井武雄氏は世界的にモダニズム建築の気運が高まる中、自由様式という彼独自の手法を講じた。高麗橋野村ビルではイスラム建築風装飾や陶器瓦などを用いるなど、モダン建築の多く残る北浜界隈でも少し趣が違う。
世界中の秀でたものを結集するという点は確かに日本的ではあり、それが和風とはいえないが西洋の建物でもない不思議な雰囲気を醸している。
自由様式の集大成とされる大阪ガスビルでは、黒御影石と乳白色のタイルが非常に印象的で、一般的に知られる”近代建築”という概念からは一線を画しており、これぞ世界のどこを探しても見ることの出来ない建築物といった感じがした。
同時期に活躍した村野藤吾のように無数の作品を残しているわけではないが、比較的大規模な作品が多く残っており、安井武雄氏の自由様式を肌で感じる機会は豊富にある。
略歴/受賞歴
1884年
千葉県佐倉生まれ
1919年
片岡建築事務所勤務
1922年
ギリシャ古典芸術に関する一考案を発表
1924年
安井武雄建築事務所を設立
1955年
5月23日 永眠
主な作品
1924年
1927年
1930年
日本橋野村ビルディング [東京都中央区]
1931年
安井武雄自邸 [兵庫県芦屋市]
1933年
大阪瓦斯ビルヂング [大阪府大阪市]
滴翠美術館
滴翠美術館
1938年
京都競馬場 [京都府京都市]
1955年
大和紡績本社ビル [大阪府大阪市]